日 時 7月20日(土)13:45~16:30
場 所 アバンセ4階 第2研修室
出席者 塾生9名 、スタッフ12名
講 師 福岡市「産前・産後母子支援センター「Comomotie」
センター長 瀬里徳子さん
演 題 「妊娠期からの切れ目ない支援をめざして〜特定
妊婦や赤ちゃんを支える取り組み〜」
特定妊婦とは出産前に特に支援が必要と認められる妊婦さんのことを言い「こももティエ」では2020年10月から実際に施設で特定妊婦の受け入れを行っています。
2016年に改正された児童福祉法第38条において触れられている「母子生活支援施設」は、胎児はまだ「子ども」ではないので妊婦は保護の対象になっておらず、2022年に一部法改正が行われても、支援の対象に「妊婦」は入るが「母子生活支援施設」入所の対象ではないとされていて、現実との乖離を指摘されました。
子ども虐待による死亡事例等の検証結果(全国の児童相談所220ヶ所の報告)は2021度の死亡事例74人 うち心中以外の虐待死50人、0歳24人(48%)と乳児が非常に多いことが報告されており、保護者が育児を負担に感じないで済む制度の早急な必要性を訴えられました。
この問題に関する課題と提言については
①地方公共団体へ
・妊娠期から支援を必要とする保護者への支援の強化が必要であり妊婦の状況に合わせた伴走の支援を。
・インターネットのツールなども駆使し自分で選択することができるようにして欲しい
・支援を必要とする人が支援を拒否する場合もあり、無理に支援の対象とするのではなく、なぜ心配しているのかを当事者に説明し支援の方法を伝え意思決定できるようにすることが大事
・公的機関や医療機関のみでなく、民間団体などによる出張サービス型の支援、父親のメンタルヘルスなどの支援も
・関係機関の連携と切れ目のない支援を
・効果的な連携のために、いつ誰がどのように支援するかを具体的に決める事が必要
・配偶者の暴力が起きていることもありうるのでDV支援とも連携を、など重要な提言をしていただきました。
「子育て世帯を支える」には地域の力が不可欠で、地域そのものの「子育て力」を高め「支援力」を高めていくことが必要で、形式ばらずに支えていくことが大切と述べられました。またできるだけ保護者と子どもを分断せずに、保護者を支えることで子どもを支える対応が望ましいと述べられました。
塾生からは質問が相次ぎ、「通報した実体験をもとに虐待かどうかを見極めることは大変難しいと感じた。通報の基準などあるのか」や「虐待の親子連鎖について」、「障害を持つ特定妊婦さんについての対応」などについても瀬里さんが丁寧にお答えくださいました。また政治塾を共催する佐賀県女性議員ネットワークの議員からは地方議会から改正の要望の意見書をあげることもできるのではないかと思うが?との問いに瀬里さんは全国母子生活支援施設協議会(全母協)から声を上げる必要があると思うが、今はそうした動きがないと答えられました。
非常に重要な課題であるにもかかわらずまだ、佐賀では支援の輪が広がっていないこともあり、「大変有意義」であったとの声がしきりでした。
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