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2023(令和5)年度 通常総会

第28回 通常総会を開催しました。

 日 時 2023(令和5)年6月3日(土) 14:00~15:10

    場 所 アバンセ第3研修室

 出席者 本人出席21名 委任状22名

 来 賓 佐賀県女性議員ネットワーク会長 盛 泰子さん

     佐賀県男女参画・女性の活躍推進課長 横田英治さん

     佐賀県男女共同参画センター館長 田口 香津子 さん

 開 会 (14:00)

 理事長挨拶

 一作年の秋の佐賀市議選の頃から女性議員が倍増し、市町の議会でも女性の活躍が目立ったが、それでも昨年5月のデータでは、20市町の女性議員の割合は13.1%と低く、女性ゼロ議会が3町あった。

 昨年、佐賀県女性議員ネットワークとの共催で女性政治塾を立ち上げた。応募者11人中9人の方々に修了証をお渡しし、その内2名の方が今年の統一地方選に立候補され2名とも当選された。これが今後も続いていけば、女性議員比率3割もすぐ近くにあるのかなという気もする。

 今年の「さが・女性政治塾2023」の2期生の募集についてもご協力をお願いしたい。

来賓あいさつ

佐賀県女性議員ネットワーク会長 盛 泰子さん

 伊万里市議会の自慢になるが、私どもは正副議長選について本会議場で所信表明をしていただくということを議会基本条例に書きこんでいる。当日、議長には2人、副議長にも2人が手を挙げられ所信表明をされた。結果、3期目になったばかりの中山議長と、議員になったばかりの加藤副議長に決まった。素晴らしい所信表明をされた。これは、議事録にも載るので是非皆さんに見ていただきたい。それぞれのご自分の議会で、そういうことを提案していくような

仕組みを変えていくようなことを、私は特に女性議員に期待している。将来は「たまには男性の議員もおらんといかんちゃなかと?」みたな佐賀を一緒にに作っていきたいと思っている。

佐賀県男女参画・女性の活躍推進課長 横田 英治さん

 4月の統一地方選では、県全体で言うと、立候補された女性の15人全員が当選された。無投票も含めると、2019年より7人多い20人の女性が議席を獲得されている。とは言え女性議員の割合は県議会では8.1%、市町議会では14.5%とまだまだの状況であり、今後とも貴会の更なる力添えが必要であると痛感している。県としてもあらゆる分野で女性が活躍できる社会の実現に向けた施策を取り組んでいく。男女共同参画推進のリーダーとして、また女性のロールモデルとして、引き続きご協力をお願いしたい。

佐賀県男女共同参画センター館長 田口 香津子さん

 昨年の女性政治塾の最終日のプレゼンテーションを見学させてもらった。一生懸命なプレゼンに対して出される率直なコメントを聞いていて、議会へ女性を送り出そうという並々ならぬ覚悟をを感じて、この会はすごいなと感じた

 館長に就任して一年、いろいろな事業をやってきたが女性の政治参画こそが一番の壁だなと思うし、逆に一番の突破口にもなると思っている。今後もシスターフッドの精神で皆様と一層の連携協力が出来ればと願っている。

お祝いメッセージ

 衆議院議員 原口 一博氏、衆議院議員 大串 博志氏

 衆議院議員 今村 雅弘氏、衆議院議員 岩田 和親氏

 衆議院議員 古川  康氏、参議院議員 福岡 資麿氏

 参議院議員 山下 雄平氏

総会成立報告 正会員総数53名、本人出席21名、委任状22

       名、合計43名。出席者数が総数の1/4以上に

       つき成立。

議長選出 諸富 八千代 さん

議事録署名人選出 江原新子 さん 江島佐知子 さん

議 事

第1号議案 

・2022(令和4)年度事業報告及び活動計算書について

 全会一致で承認 

・監査報告

 適正な処理がなされていた。

 会費の納入については、現行の振り込み手数料の会負担

 を振込者負担とすることの検討をされたい。

 第2号議案

・2023(令5)年度事業計画及び活動予算書について

 2人の会員からの質問があった。

 加藤伊万里市議からは、会費の振込手数料を可能ならば

 今度からそれが難しいのであれば次年度で対応してはと

 の質問に対し、理事長が今回の予算案には含めていない

 ため次年度からということを理事会で検討すると答えて

 了承された。

 牧瀬鳥栖市議の政治塾のチラシの費用が前年に比べて低

 いことの理由についての質問に対し、理事長が前年度の

 チラシは3000枚作製したが在庫が出てしまったこと、今

 年はSNSを活用して広報を行うため、枚数を減らしたこ

 とを答えて了承された。

 全会一致で承認

以上をもって議事はすべて終了した。

議長降壇 

閉 会  15:10

 


講演会  15:15~16:15

演 題 「都道府県版ジェンダーギャップ指数2023年から見える現状と課題」

講 師 佐賀県立男女共同参画センター館長 田口香津子さん

 政治の歴史を振り返って、どの時期に女性議員が伸びたかを見てみると、2005年の小泉チルドレン、女性議員がこの当時16名誕生した。小泉さんは、郵政民営化で反対する議員の対立候補を擁立する際に、比例代表の名簿の上位に女性の名前をあげて、実質的なクオータ制をやった。民主党政権時代にも小沢ガールズということで、女性議員が40名当選した時代があった。それから2014年には第2次安倍改造内閣が、女性閣僚を5名任命した。この流れと同時に女性運動の流れについても見てみたい。

 世界では、女性解放運動は、第二波、第三波のあと2010年の終わりから起こったフェミニズム第4波は、フェミニズムのカジュアル化。代表的なものに、女優のエマ・ワトソンが、女性への暴力防止に男性を当事者として巻き込むことで「フェミニズムは男性嫌悪ではなく、人権問題である」と発言したことや、ミシェル・オバマがナイジェリアの女性生徒拉致事件2014に対して抗議し、支援したことから始まった#運動があげられる。そして今、#MeToo運動に代表されるように性被害者の告発ということで、インターネットを使った運動というのが広がっている。

 一方で日本は、世界の中で立ち遅れている現状があった。それでも、、新しい風も吹いてきた。能條桃子さんはタイム誌の次世代の100人に選ばれた唯一の女性で、若者が政治に対して関心を持たないということに対して危機感を感じて、#NO YOUTH  NO JAPANという団体を立ち上げた。「若者なくして日本はない」と言っている。彼女はネットを使って選挙に関心を持つための新しい仕掛けをやっている。それから櫻井彩乃さんは男女共同参画って何ですかというハッシュタグでの活動をして、第5次男女共同参画基本計画のパブコメを、若者に声をかけ1000個集めて、その当時の大臣に手渡した。どちらも20代の若い女性達の活動。また、男性も一部変わってきた。「イクメンとか持ち上げないでほしい、家事手伝いとか、家事育児を手伝ってるとか僕は考えていない。当たり前なんだ」こういった男性の声が、若い層を中心にしてちらほらと伝わってくる時代になっている。

 ポジティブアクションについて少し話をしたい。トイレの話を例にとると、最近のトイレは男性用と女性用で面積が違ってきている。トイレは長いこと男女同じ面積で作られていた。これが形式的平等、しかし実際には女性トイレの方には長い列ができ、男性用トイレはスカスカということがしばしばあっていた。男性に生まれようと女性に生まれようとトイレを利用したいという時に同じような時間帯でトイレの利用ができることが、実質的に平等だという考え方をすると、女性トイレの面積の方を増やすことによって、トイレの使用時間が男性と女性の間で格差がなくなるという考え方、これがポジティブアクションの考え方。なぜ女性トイレの面積だけが大きいかといわれても、女性に生まれても、男性に生まれても、トイレに行きたい時に待たないで済む便利さが担保されるということが必要なのである。

 ジェンダーギャップ指数は、世界経済フォーラムで発表される。世界経済フォーラムというのは、世界で1000人ぐらいの企業代表や、経済学の学術研究者達の集まりで、スイスに本部がある組織。なぜ経済界の人たちが発表してるかというと、それは経済成長の鍵は男女の格差是正にあるということ。米国では、金融大手やナスダックが、ジェンダー平等やダイバーシティの取り組みを義務付ける方向へと変わってきた。日本でも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という年金を運用している法人が環境と社会とガバナンスを考慮した投資の推進にジェンダーダイバーシティ指数を採用した。根底には、人口の半分、最大のマイノリティと言われる女性が経済面で社会参画できていないことが大きな損失という潮流がある。 

 三浦まりさんは著書の中で、「男性政治とは男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治である。この見慣れた風景を21世紀の今日も民主主義と呼んでいいものか」と書いている。そして「私たちの暮らしは私たちが決める。その”私たち”に実は女性が入っていない。女性の経験や視点が抜け落ちた施策に終わってしまっている。障害者や若年層、留学生という多様性にも通じる人達が”私たち”に入っていない。実際に女性が意思決定に参画すると腐敗の減少、平和の構築、企業収益の改善、リスク管理の向上等の変化が見られた」とも書いている。解決すべきはジェンダーギャップ、アンコンシャスバイアス。 

  2023年の「都道府県版ジェンダーギャップ指数」は、上智大学研究者らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」から、2023年3月8日の国際女性デーに合わせ公表された。 この指数は、地域差の少ない健康分野を外して、代わりに住民に身近な行政分野を採用しての4つの指標ということになっている。佐賀県は2023年度版で行くと行政が8位、政治が41位教育33位、経済38位。行政分野をてこに、他分野へジェンダー平等の意識を浸透させることが課題。政治分野では女性の市町村議は増えているが、県議は1割未満で、県政に女性の参画を広げることが期待される。教育では四年制大学への進学率の男女差に改善が見られたとなっている。

 最後に、5月26日市民活動プラザで聞いたショックな話。「佐賀県は人口減と若手減が他の県に比べて超早い。2040年になると、85歳以上の人の割合が9人に1人になる。そして4人に1人が要介護状態になる。高齢者の一人暮らしも増える。

 2010年から2020年の10年間、佐賀県の日本人の人口は4. 5%減っているが、2010年に比べて10年半で外国人は65. 3%増えている。そしてその中で特に吉野ヶ里、神埼、鹿島、多久などは、この外国人がGDPを支えているようなもの。そういう危機的な状況にあるが、今もまだ昭和の幻想を追ってるような人達が意思決定の中枢にいるから困る。本当に変わっていかなければならない。なぜかというと、もう日本のGDPが最高だったのは1994年の話で、世界の18%を占めていた。しかし2020年段階では日本はもう4. 2%、今後中国、インド、アセアン5ヵ国の世界シェアが多分3割近くになる。アメリカ、EUなどよりもインドや中国、アジアが伸びてくる。これはどういうことかというと2030年以降、外国人が日本で働く意味がないということ。介護の担い手が不足するという状態。日本で今働いている人たちは日本で稼いだ金の大体半分を本国に仕送りしているが、もう本国での給料の方が上がって、給料が上がらない日本で働いても、外国に来て働く意味がないからもう来なくなるということ。介護の担い手はあと10年も経たない内に、今やっと外国人でどうにかなってるという状況も、もう担保できなくなる。それはどういうことかと言えば、子育てや介護に従事する人の待遇が全然改善されてきていないという現実があって、こういう課題がまだまだ軽視されているから。

 意思決定の場に女性や多様な人達を参画させて、イノベーションを起こさないと、本当に大変なことになる。」

 これは本当に政治の問題だなと思っている。

「まとめ」

1 ジェンダー主流化という言葉がずっと言われてきたけれども、軽視されてきて今に至っている。様々な社会課題の背景にジェンダーの問題が関与していて、今も意思決定の場でこの重要性が認識されていない。政治にも多様性を求めていく。

2 ジェンダーギャップ指数やSDGsの社会的認知度ともに、世界の中の日本の位置づけ、内閣府男女共同参画局や「地域からジェンダー平等研究会」のデータの見える化により日本における佐賀の位置付けが理解でき、課題がより焦点化された。

3 「私たち市民もだが、社会的に影響力のある方々へ啓発をしてほしい。」「政治的中立という名目で、若者たちに政治への関心を育てていない。教育の見直しを」という声も