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「さが・女性政治塾」キックオフ公開講演会


 さが・女性政治塾キックオフ公開講演会概要

                              日時:2022年6月23日(木)18:00~20:00

                               場所:佐賀女子短期大学1号館教室

 

メッセージ:クオータ制を推進する会代表 赤松良子さん

 赤松さんは2014年から「赤松塾」を開催して7年目で、この間受講生は約350人、2019年の統一地方選挙では10名が立候補し、9名が当選して活躍中とのことで、「さが・女性政治塾」の実施について激励の言葉をいただいた。

 

講演:クオータ制を推進する会役員・前衆議院議員 山崎摩耶さん

 ● Qの会の活動報告と政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)制定の経緯

   Qの会のキャッチフレーズは“議席の半分に女子を”である。議席の半分を女性にではなく、議席の半分に女性をと、主

  体をこちらに持ってきたところに意義がある。

     2016年から2018年までの2年間、超党派議員連盟を結成し、条文の文言の不一致や国会の解散等、様々な試練にも負

  けずにロビー活動を重ね5月の通常国会で成立。5月28日公布・施行

   「政治分野における男女共同参画推進法」はメデイァにより「候補者男女均等法」とネーミングされて報道された。こ

  の法律は男女の候補者の数ができる限り均等になるよう努めるとした努力規定。

   2021年改正法が成立し政党等の取り組み強化(4条)と、国・地方公共団体の責務等の強化(5条)等が盛り込まれた

 ● 法施行後3回の選挙

      2019年統一地方選挙、2021年衆議院選挙、2022年参議院選挙では、女性候補者数過去最多(2019年)を記録した

  り、各政党の党幹部たちがそれぞれ女性候補者擁立目標値を出す(2022年)など法律の効果が見て取れた。

 ● 203050&クオータ制導入を目指して

   現時点での積み残し課題が3点、まずは「政党の数値目標の義務化」については、息長く改正を繰り返して義務化に持

  っていく。次に「衆議院比例名簿へのクオータ」については、比例名簿半数は女性にする・惜敗率名簿に女男女男とい

  うようにジッパー方式に載せる・比例単独1位は全部女性にする・特定枠を使って一政党二名づつこの特定枠に女性を載

  せるなどを取り入れる。3点目「政党交付金の女性議員数を勘案した配分」については、韓国のように女性議員が多けれ

  ば政党交付金を加算し、少なければ減額するという配分があってもよい。

   女性議員数の現状を見ると、有権者の52%は女性、しかし女性議員の比率は衆議院で9.7%、参議院で23.1%、都道府

  県議会で11.6%、区市町村議会で女性議員ゼロは275議会(15.8%)と、まだまだの現状。

   次にクオータ制を導入している国はルワンダ、ニカラグア、スウェーデン、ボリビア、ノルウェー、フランス、ドイ

  ツ、韓国の8ヵ国、そのほかクオータ制を導入していないけど女性議員比率の高い国が、キューバ、アラブ首長国連邦、

  ニュージーランド、アメリカ。

   2021年の衆議院議員立候補者にNHKがアンケートでクオータ制の導入について聞いた結果を見ると、自民、維新で反

  対が多く、立憲、公明、共産、国民、令和、社民は賛成が多い。

   また、朝日新聞が行った「女性議員を増やすべき」に対する意見では、増えたほうが良い67%(うち女性は71%、男 

  性は64%)、30代以下の女性の8割超はそう思っており、自民党支持者の62%もそう思っていて、そうは思わないは

  23%となっている。ヤング世代は8割超が女性議員が増えたほうがいいと思っているが、実はこの世代は投票率が低

  い。「選挙に行こう」「比例分は女性に入れよう」というような選挙に関するアクションが必要。

   さらに、IPUが各国議会にジェンダー自己点検を依頼した結果によると、衆議院ではクオータ制が必要と半数が答えて

  おり、政党では女性党員を増やす必要があると87.5%が答えているが、ジェンダークオータ制を適用しているのは

  12.5%と、ほとんどが適用していない。

   韓国では2000年に政党法を改正してクオータ制を導入した。比例代表の50%に女性を導入となっていて、名簿の奇数

  が女性候補と規定されている。

   また、小選挙区で女性候補を多く擁立した政党に対して女性候補の選挙経費を支給している。

   台湾も、議席割り当てと候補者クオータで2016年段階で女性議員の割合は38.4%。

   フランスは立候補時、男女ペアで立候補するパリテを実現した。

 ● 今後の展望ジェンダー・メインストリーミング

   近未来の日本のリスクは少子化、しかし最大のリスクは女性議員が少ないこと。もうすぐ出生数が80万人を割る。

  このことは見方によっては女がノーを突き付けている、こんな状態で子供なんか生めるか!結婚なんかできるか!とい

  うレジスタンスみたいなものが見えかくれしているのではないか?いまの暮らしや政治や経済に展望が持てない状況に

  なってしまっているのではないか?こうした様々なリスクを解消する政策に女性議員がが少ないことが最大のリスクで

  はないかと思っている。女性議員を増やして、なんにでも優しい社会を創ることが大事。そのために必要なことが

       1、候補者男女均等法の法改正によるクオータ制の導入

       2、政党のジェンダー平等政策の本気度の可視化と外圧

       3、行政府(男女共同参画局、総務省等)によるアクション―第5次計画では政治も経済もあらゆる分野で

        35%を目標

       4、私たちにできる女性候補者・政治家の人材育成と支援システム

       5、選挙制度・公職選挙法の改正

           ~比例区のクオータor名簿記載方式

           ~立候補を促進する仕組み(在職立候補や休暇制度・供託金・選挙運動の見直しなど)

           ~女性議員の家庭と議員活動の両立など様々な環境整備

   最後に私たちにできることは何か。

       1、クオータ制の導入に反対なのは与党か男性達か考えてみる

       2、私たちにできる「政治は生活そのもの」=家庭や学校での政治教育、「性別役割分担意識」の払拭

       3、候補者育成・支援策・仲間作りは?

       4、女性議員の活躍と議会の変化などのデータを!

       5、生活に身近な地方議会から女性議員をどう増やすか?

   これらを頑張ってやっていただきたい。

※この講演会はオンラインで開催しました。