· 

設立25周年記念公開講演会を開催しました

開催日時   令和3年7月11日(日)14:00~16:00

場  所   アバンセホール  

講  師   堀内 光子さん 


   1996年7月20日に産声を上げた「特定非営利活動法人女性参画研究会・さが」は7月11日、佐賀市のアバンセで25周年記念講演会を開催しました。講演会では会の発足の契機となった北京女性会議に参加した佐賀の女性達の様子を動画で紹介。会場からは「当時の熱気が伝わってきた」、「懐かしい」との声があがりました。続いてこの25年の歩みを写真とナレーションで辿りました。

 開会にあたり、山崎和子理事長は「1995年のアバンセ開館後、北京女性会議NGOフォーラムに多くの女性が参加し交流して帰って来ました。頂いたエンパワーメントで女性議員のない市町村をなくす、政策決定の場の女性の比率を30%にするを目標に掲げて活動してきました。発会当時の1996年、佐賀県内49市町村中女性議員が不在だったのは33市町村でしたが現在は20市町のうち不在は4町になりました。しかし現在も県内のすべての議員の中で女性議員の占める割合はまだ1割に達していません。この25年を振り返り、何が成果で何が課題となっているのかを見極めたいと講演会を開催する事としました。今後もセミナーやロビイング活動をしっかりと行っていきたいと思います」と活動協力へのお礼と、今後の活動に向け抱負を述べました。

 続いて山口祥義佐賀県知事からは、「佐賀県では男性、女性にかかわらず、すべての人が輝く佐賀づくりを進めている。このような中で女性参画研究会・さがの皆様の活動はまさに力強い存在であり、これからもともに佐賀の未来を輝くものにしていきたい」と、メッセージを寄せられました。

 本会と共に歩んできた佐賀県女性議員ネットワークの盛泰子代表は祝辞の中で「この25年の間に発掘され磨き上げてくれた原石が多くの分野で活躍しています。一緒に素晴らしい佐賀を作っていきましょう。」とエールを送られました。

 佐賀県立男女共同参画センター・生涯学習センターアバンセの上野景三事業統括も祝辞の中で「新たな女性運動は1995年以前の1985年のナイロビでの国連女性会議から記憶しています。人権が抑圧された社会をなくすということが今も、当面する課題だと思います」と述べられました。

 

 今回の講演会では北京女性会議にも国連機関の一員として深く関わられ、その後も国連機関・大学・NGOで活動を続けられている(公財)アジア女性交流研究フォーラム理事長の堀内光子さんを講師に「北京+25+1 ジェンダー平等はどこまで進んだか なぜ、女性議員が必要なのか」をテーマにお話を伺いました。

 まず、堀内さんは

11日、今日は国連が定める世界人口デーだが、女性が人口の半分以上を占めているにも関らず、女性議員が少ないというのは、間接民主制が機能できないということ。

・北京女性会議は女性の地位向上からジェンダー平等に移行する大きな転換点になった。ただ、その時は男女の問題であり性の多様性までは十分でなかった。

・ジェンダーは全ての問題に繋がるが、国連にはイスラム社会など多様な国家が加盟しているので、国連の中でジェンダーが人権問題とされたのはこの10年程のこと。2021年の国際女性デーで政治の分野で女性の参画がやっと取り上げられた。

・日本は世界とどんどんジェンダー格差が広がっている。アメリカで女性副大統領が出たり、女性閣僚が増えたりしたのは、政策というよりも、それを求める女性の活発な動きがあったからだと分析している。日本では特に地方議会議員が少ないが、それは選挙のやり方が影響している。

・世界がジェンダー平等になるまでに何年かかるかというと、政治エンパワーメント145.5年、経済参加は267.6年、総合では135.6年かかり、私たちの世代では平等にはならない計算です。だからこそ選挙におけるクォータ制は暫定的な特別措置として実行する必要があるのです。

・2018年、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が制定され、今年改正されたが、厳しくやらないと女性の政治参画を進めることは難しい。国と地方公共団体の施策を強化すべきでプレッシャーをかける必要がある。

・SDGsの中に入っている女性差別撤廃のシグナルについても解説され、2030年までの達成目標だが既に5年経過してしまっている。ファッションの様に言われておりちゃんと進んでいるか疑問。 

 そして「差別があることは事実で、意識改革をしていくことが大切。これを改めるには市民活動が活発に行われることが必要だ」と結ばれました。

 

 約100人がコロナ対策をとりながら会場とオンラインで講演会に参加しました。ライブ配信だけでなく、事前申し込みを受けた方はYouTubeで8月11日まで視聴できます。アンケートでは殆どの方がとてもよかったと記載され、「ジェンダー問題は女性だけでなく男女の問題でもあり、女性の人権問題」「生きている間にジェンダー平等はないとの発表に驚きましたが、これからの社会のために声を出し続けていくことの大切さを感じました」「課題はたくさんありますが自分に何が出来るか考える一助になりました」「継続は力なり。ネットワークの強さ、元気をもらえました」「課題山積の中、光を灯りをどこに求めるか糸口を見つけた気がしました」など、主催者が励まされる内容が綴られていました。

 山崎理事長が冒頭でお約束したように、セミナーやロビイング活動をしっかりと続けていきたいと思います。今後とも特定非営利活動法人 女性参画研究会・さが」の活動にご支援、ご協力をお願い致します。